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司法書士 新谷健太郎

弁護士 斎藤 和将
ふじ法律事務所
所長弁護士
(東京弁護士会所属)
東京都多摩市愛宕4-22-20
センターヒルズBLD302

突然の争族で「争族」へ!会社も家族も崩壊 STOP!争族 幸せのための事業承継

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シリーズ STOP!”相続”突然の相続で会社・家族が崩壊

遺言状だけでは解決しない、生前の意思表示 「相続準備は、今すぐ開始しよう!」

オーナー経営者の誰もが不安に感じているのが事業承継問題です。
自分がいなくなった後の会社を想像できますか?
突然社長が倒れたら、会社はどうなるのでしょう?
家族は大丈夫ですか?
どんな人も生まれれば必ず死を迎えます。そこで発生するのが相続です。
せっかくの遺された財産を争いの種にしないためにはどうすればいいのか。
死んでからでは遅すぎる!10年先のそのとき、あなたの会社は大丈夫だろうか?
あなたの会社・家族を守るためには、早めの準備が重要です。
相続の流れは、大まかに整理すると以下のとおりになります。

【1】相続人(遺産を受け取る人)の把握、後継者の決定  【2】財産の把握  【3】 【2】の財産を【1】の相続人に『合意できる』分配

“争族”回避の準備を怠った場合、どのような事態に陥るのかを事例とともに、ふじ法律事務所の所長弁護士である斎藤和将さんにお話を伺いました。

法定相続人の範囲とその分割割合

遺産を相続するのは誰?

相続人を確定する段階では、隠し子が発覚したようなケースが、私の経験した代表的なトラブル事例です。
突然現れた人にも、法律的に平等に相続する権利があります。しかし、頭では理解できたとしても、いざ一度も会ったことの無い人が目の前に現れ、財産の一部を渡さなければならなくなったときに、なぜ自分たちの財産が減るのか、感情的に納得できない思いを抱くことは大いにあり得るのです。
さらに、被相続人(父親)が自分たちに対して大きな秘密があったという点で父親に裏切られたような感情が加わり、なかなか被相続人の中で突然の出来事を受け入れられないことも多いようです。

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トラブル事例1 愛人の子

父親の死後、見知らぬ青年が現れました。話を聞くと、父親の隠し子ということです。当然に財産を相続する権利があると主張をして問題が起こりました。
父親から何も知らされていなかったので、俄かに信じることができない家族。認知もされておらず、青年の持っている写真や古い手紙のほかに、確たる証拠となるようなものはありません。「本当の相続人かどうか?」を裁判書で争わざるをえなくなりました。この件が明確になるまで、相続が完了しないことに戸惑いは隠せません。また、家族は「ほかにもいるのだろうか?」と疑心暗鬼なまま、父親の一周忌をむかえることに・・・。

結婚していない者同士の間に生まれた子供を非嫡出子といいます。
財産を相続する権利は実の子(嫡出子)の半分あります。
通常、他に相続人がいないことを証明するには、父親の全戸籍を集めて、相続の発生する対象がいないかどうかを確認します。また認知されていない「隠し子」に相続権は発生しません。しかし、認知は生前しか行えないというものではなく、父親の死後3年以内であれば母親の訴えにより裁判所により認知が認められる場合があります。
日本では、被相続人(亡くなった人)の四十九日が終わるまでは遺産分割の話しをせずに、四十九日が終わってから本格的な話し合いを始める例が多いようです。被相続人の死亡により(図1のような流れで)相続手続きが開始するのですが、連絡先が不明の相続人や隠し子がいると、手続きを進めることができません。残された家族だけでは見つけ出しにくいケースもあります

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トラブル事例2 行方不明の弟

喪主として、父親の遺産の整理にあたっている長男のAさんには、3年前に失踪して、行方不明となっている弟がいました。弟には、離婚した妻とその妻との間に現在6歳になる息子がいますが、元の妻子とも全く連絡が途絶えてしまっているとのことでした。元妻からは、弟の相続分が弟との子供に発生するのではないかと迫られています。
そんな折、父の死後仏壇から、父の自筆の遺言書らしき封書を発見しました。どうやら、4年前にかかれて、放置されていたようです。この場合、Aさんは、どのように遺産整理を進めたらよいのでしょう?

まず、封のされた自筆遺言書は、発見者が勝手に開封することはできません。被相続人が全員揃い家庭裁判所の検認をうけて開封となります。
また、遺言書がない場合でも、行方不明の相続人がいると財産を分けるための話し合いができないために、遺産分割が進みません。こうした場合は、裁判所に「財産管理人」を選定してもらって、その人の立会のもとに、遺産分割を進めます。この事例では該当しませんが、もし、失踪して7年以上たっているのなら、裁判所の失踪宣告をうければ行方不明の本人は死亡したとして代わる相続人をたてることができます。失踪宣告がなされると、死亡したものとみなされるため、不在者に子がいる場合は、その子が代襲相続人として相続人となります。

相続手続きの流れと期限

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相続する財産とは?価値が変動する財産、秘密の財産こそリスト化!?

銀行の現預金や、証券会社の管理下に預けてある有価証券や現在お住まいの土地建物などの不動産は、比較的容易に把握できる財産の例です。借金についても、住宅ローンなど、金融機関に定期的に返済が発生しているものは、把握しやすい負の財産です。
知られている通り、負の財産(借金)についても、一旦財産を相続したら、相続した人が、残りの返済を続ける必要があります。相続財産について、負の財産が多い場合には「相続放棄」という手段ありますが、財産の内容が明確でなければ、相続すべきなのか、放棄すべきなのかも判断できません。また注意したいのが、「期限」です。(上記図参照)通常、被相続人が死亡して、3ヶ月以内に遺産を相続するかどうかを決定しなければいけません。

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しかし、中小企業の経営者にとって、日ごろ個人の財産と会社の財産は不可分な部分も多く、正確に把握できない財産も多いのではないでしょうか?また、長年の取引先や苦楽をともにしてきた経営者との金銭の貸し借りについて、正式な書類のないままに済ませてしまっているケースはないでしょうか?
財産の把握が難しいケースでは、被相続人が、生前に自分の財産リストを作成するとともに、その財産の時価評価額を概算し、相続人とも財産の概要を共有するためのコミュニケーションをとっておくことが重要になってきます。

気をつけたい財産の例

・貸し金庫(内の財産)…ご本人以外、どこに借りているかすら把握できない場合も
・海外の不動産、海外の投資ファンドに預けてある資金…2008年度の相続税申告漏れ金額は過去最高の353億円!
・高価な美術品や骨董品…実は、高価な品もあれば、本当は価値のない品も
・未公開企業への株式投資…いくら投資?現在の株価は?配当は?
・友人の会社(経営者)への出資や短期の用立て…契約書がない場合は?
・飲食店へのつけ…馬鹿にできない金額の残債が隠れているかも
・自社株式…評価額は?複数の相続人分散してしまって大丈夫か?
トラブル事例1
・連帯保証人…金額は?相手先は?いつ?
トラブル事例2
・同居する家族の財産の仕分…普段は同じ財布のように使ってしまっているけれど…
トラブル事例3

分類

財産の詳細

評価方法

概算評価額

事業用資産

自社株式

特殊な計算方式

××××円

 

不動産

路線価等

××××円

不動産

土地

路線価等

××××円

 

建物

固定資産税評価額

××××円

現金預金

 

残高どおり

××××円

有価証券

上場

相続開始時の時価

××××円

 

未上場

特殊な計算方式

××××円

死亡時に入る現金

生命保険

 

××××円

 

退職金

 

××××円

その他

骨董品・美術品 等

鑑定価額

××××円

債務

借入金・ローン

残高どおり

××××円

 

連帯保証

保証額

××××円

トラブル事例1 自社株の低すぎる評価で争族の火種発生

長年業績が悪く、債務超過(プラス財産よりマイナス財産が多い会社)になってしまっている会社がありました。この会社は相続税算出の株価評価では株価がゼロ円と評価されました。つまり価値がないという評価です。そこで、新社長となる長男は財産を分ける際に、この株式全株を評価額ゼロ円で自分のものに名義変更しました。
「借金まみれの会社を引き継ぐのも大変だけど、父の残した会社だ。兄さんがんばってくれよ」と弟の同意も得て、この会社の株式以外の財産を長男、次男で半分ずつに分けたのです。しかし、この会社は長年の業績不振で債務超過になっていたものの、よく分析してみると、ここ1年程度はリストラ効果が出てきており利益が出る体質へと体質改善が進んでいました。さらに、相続発生後には業績が急速に向上し、超優良企業へと変身していきました。毎年の利益額も大きくなり、投資家からの資金も入り、株式公開を準備する会社へと成長した時に、次男は騙されたと思い「当時の遺産分配は不当であったので、自分にも相当の株式を渡すべきだ」と訴えたのです…。

未公開会社の自社株式の評価方法は複数あり、相続税の額に影響するだけでなく、今後の会社の資本政策(株主シェア)などを検討する必要がある難しい問題です。
上記の場合、株価評価が低すぎたためにおきたトラブルですが、一般的には、自社株式は換金性が低い(売却できない)にもかかわらず、相続税法上の評価額が高額になりすぎ、納税資金面でのトラブルを起こすことがよくあります。また、評価する時期により、その額も変動する財産のため、毎年、評価額の把握とその対策が重要となります。

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トラブル事例2 見えない負債 連帯保証

中小企業の経営者であった父が死亡し、一人息子のAさんは引き継ぐことを決意しました。父は、中小企業の経営者であるために、自社の銀行借入に対してはもちろん連帯保証をしており、Aさんも承知の上、自社株の全てを引継ぐとともに、自社の借入金に対しての連帯保証人となりました。そして。父親の死後半年が経った時に、父親の古くからの経営者仲間であったB社が倒産するという事件が起こったのです。葬儀でお悔やみを告げた数日後のこと、自社とは取引のないC銀行から連絡がありました。その説明によると、父親はB社の連帯保証人になっていたということらしいのです。そして、父親の財産を相続した長男に、この連帯保証分の支払いをしてほしいという連絡でした。

B社とは継続的な取引関係もなく、連帯保証に関する何の書類も残されていないAさんが、この事実を事前に知る術は全くありません。このような場合、過去の裁判の判例では「相続財産の存在を知ってから3ヶ月以内」であれば、相続の放棄が認められる可能性もありますが、Aさんのように、事業を引き継いでいる場合、過去にもどって相続を放棄することは難しい場合がほとんどです。いずれにせよ、裁判で解決することは大変な労力です。相続人が、把握している財産は、見えていないもの、忘れてしまいたいもの、普段隠しているものまでも、わかるようにしておくことが大切です。

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トラブル事例3 生前に長男が預金を使ったお金は生活費?贈与??

長男夫婦と同居していた父の死去。相続人で財産を確認すると自宅は長男名義に数年前に変更されていました。また預貯金残高もほとんど無く、遺産分割の対象になる財産はわずかな預貯金と有価証券だけでした。
父親は長く勤め上げた大手企業を数年前に退職したばかり。退職金をまとまった何かにつぎ込んだという話も聞いていない兄弟は、納得がいきません。兄は、病院への支払いなど、父の生活費や老後の趣味の海外旅行などに消えたのではないかというのですが…。長男一家は、父の退職後とともにたびたび海外リゾートへ同行していました。兄は、「健康に不安のある高齢の父を一人で行かせるわけには行かないから、介護兼付き添いを買ってでただけ」という説明です。

財産を確定する段階でよく問題になるのは、被相続人と一緒に住んでいた人が預貯金を隠したり、使ってしまったりしたケースです。これを防ぐために、被相続人が死亡すると、その人の銀行口座はロックされます。被相続人の生前に相続人が被相続人の預貯金を使用した場合は、遺産を先にもらっていたものと見なされ、のちの相続ではその人の相続額が減額されることがあります。

【対策】1,財産をもれなくリスト化する ※本人しか知らない財産をしっかり記載しておく!マイナスの財産も網羅的に! 2,財産の評価順を知っておこう ※相続人の分割の目安になるように!また、相続税の概算を把握するために!評価額を定期的に見直ししながら確認しておこう

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少額財産でも争いになる財産の分割 均等な分割ではなく、「納得」のいく分割を目指して

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財産を分けるという作業は、お金持ちだけの問題でもありません。例えば、相続財産が自宅のみというケースを想像してみてください。長男が相続しますか?次男が相続しますか?自分たちが生まれ育った家は残したいけど、どちらのものにするのでしょう?それとも、換金して2人で均等に分けることが可能ですか?
自宅や先祖代々の土地、被相続人が大きくしてきた会社など、客観的な経済価値では把握しにくい家族の思いがこもった財産もあります。これらを誰がどのように引き継いでいくのか、単純な割り算では分けきれない財産を、皆が納得できるように分けるという大変な作業が発生します。
さらに、大切な準備項目に、納税資金の確保があります。相続人は相続税を納付しなくてはいけません。この相続税が思っていたよりも高額になるケースもよく起こります。相続財産が金融資産(預金や株式など)中心であれば納税も比較的容易ですが、相続財産が、不動産(土地・建物)や自社株などの未公開株式だけだったような場合には、換金が難しいために納税資金がなく、土地を手放したり、物納しなくてはいけないケースも生じ得ます。また、不動産などは相続人が住み続ければ相続税がかからないケースもあり節税にも有効なのですが、相続人で均等に分割するために売却して現金化しなくてはならなくなると、納税額も多くなってしまうケースも生じます。
単純な割り算では分けきれない財産を、皆が納得できるように分けるということは想像以上に大変な作業となるのです。

遺産分割での争族を回避するためには、やはり遺言書を書くことが重要な対策のひとつだと思います。遺言書は、本人の想いを残された者に伝えるためのメッセージになりますし、遺産分割の際の指針にもなります。遺言書に書けば法定相続人以外にも財産を譲渡することが可能です。これが問題を引き起こすことも多いのですが(笑)。
また、せっかく遺言書を作成するのであれば、多少の手数料を払ったとしても公正証書を作成することをお薦めします。遺言書は個人が書くことも可能ですが(自筆遺言といいます)、民法上、遺言書作成のルールは細かく決められていて、ルールに反してしまうと、せっかく書いた遺言書が無効になってしまう場合があります。その点、公正証書は公証人がチェックしているので、遺言書が無効になるリスクを大幅に減少することができます。弁護士の私も、将来、もし遺言書を書くとしたら公正証書遺言にすると思います。
ただし、相続人には遺留分という、最低限保証されている財産をもらう権利があります。遺言書でも、この遺留分を無視した財産の分割はできないので注意が必要です。
遺言書によらずとも、民法の定める法定相続に従って、きちんと分割できれば問題ありません。しかし、財産には預貯金や不動産・借金など多様なものが含まれますので、これをどう分けるかで、もめることがあります。

例えば、評価額が一義的に決まらない不動産などでは、その不動産を相続する人から見れば低評価額が望ましく、反対に他の相続人からは高評価額が望ましいという、評価を巡って、もめ事の発生する可能性があります。
他には、被相続人が高齢になっているケースも問題が発生しうるケースです。夫が亡くなり、相続人が母と子で、母が高齢で判断能力が不十分な場合があり得ます。この場合には、母に成年後見などの制度を活用しつつ遺産分割の話し合いを進めていく必要があります。
また、マイナスの財産がプラスの財産より大きな場合の相続では注意が必要です。相続発生後なにもしなければ、無条件でプラスとマイナスの全財産を相続したことになります。もし、マイナスの財産を相続したくない場合には、相続開始を知った日から3カ月以内に相続放棄や限定承認の手続を家庭裁判所で行わなくてはいけません。相続放棄は、相続自体を放棄することで、その相続人は相続人でなかったとみなされます。限定承認は相続財産の範囲内で債務を弁済するというもので、相続人にとっては都合の良い方法です。

限定承認と相続放棄の決断は3ヶ月以内!

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トラブル事例1 遺言書で全ての財産が長男に…?

長らく独りで暮らしていたが父親。妻は先に死別しており、長男・次男の2人兄弟がいます。健康面など考えて、晩年は長男夫婦がひきとり一緒に暮らしていました。父親が亡くなった際に発見された遺言書には、長男に全財産を相続させると記載されていました。

遺言書で、誰に財産を引き継がせるかを決めることができますが、相続人には遺留分という権利があり、その遺留分を侵害した遺産分割はできません。
この場合次男が請求すれば、長男は遺留分を支払うことになります。

法定相続人の範囲とその分割割合

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トラブル事例2 遺言書に財産の記載漏れ

遺言書には、自宅の土地・建物を長男に、有価証券を次男に、現預金を、長女に分配するよう記載されていました。兄弟は納得し、相続手続きをすすめていたところ、老後の楽しみにと、晩年、友人と共同名義で購入した別荘と土地があることがわかりました。

遺言書を毎年見直すことは重要です。
遺言書を作成した時点から財産が増えるケースは良くあります。相続人に平等に分割するように遺言書作成を活用しようとしたものが逆に、後に取得した不動産などを誰が相続するか争族の原因になってしまうケースがあります。
「その他一切の財産を○○に相続させる。」の一文や、定期的な遺言書の書換を行うことで回避できると思います。

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トラブル事例3 相続後に株が暴落

遺産分割で相続人3人の長男・次男・三男で財産を分割しました。長男は自宅、次男は事業、三男は株式(上場有価証券)を相続したのです。その後、経済環境が急激に悪化し株価が下落してしまい、売るに売れず、三男が相続した株式の価値は半分以下になってしまいました。
そこで、長男・次男は、三男だけに株式を取得させたことは不公平だと思い、下落した分の損失を長男・次男が三男に対して、一部支払ってあげようと決めました。

仲のよい兄弟で各自が経済的にも安定していたので、株価の暴落でも、争族に発展しないのはよかったですね。しかし、分割のやり直しは詐欺や資産評価に重大な過ちがあった場合以外には認められないのです。そこで、このケースでは長男・次男から三男に対して贈与があったとして、三男に贈与税がかかってしまうことになります。

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トラブル事例4 認知症になった母親の後見人である長男が遺産を分割するのはOK?

父親が死亡して遺産分割協議を行ないました。相続人は母親、長男、次男の3名。しかし、母親は認知症で長男が成年後見人となっています。遺産分割の際に、母親が相続放棄するという決定を長男が行い遺産を長男・次男で分けることにしました。

こちらも仲良く兄弟で分配できて、何の問題もないように思われます。しかし、この場合、長男は遺産分割の際に母親と利益相反するために、後見人に代わって特別代理人などを選任しなければならないのです。親の後見人に子がなっているケースは多いですが、遺産分割協議では利益相反が生ずるために注意が必要となります。

【対策】1,遺言書を作って、被相続人の想いを伝える。 ※遺産分割の指針を示そう!また、財産の分割方法だけではなく、遺言書には残された人へのメッセージを残そう! 2,遺留分を配慮した分割を! ※遺留分を無視した遺書はトラブルのもとになるので要注意!

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「争族」を回避するために、今すべきこと

争族を回避するための対策は、遺言書をしっかり残すということが基本になりますが、その時期ごとに考えるべきことがあります。まずは、1.相続まで、まだまだ時間があるという段階での準備です。次に2.相続直前期の対策です。もちろん時間的な余裕がある段階であればあるほど、いろいろな対策が可能です。

1.相続まで時間的な余裕がある場合に必要な対策

まず、しっかりとした将来の計画を作成することです。これは、「会社の事業計画」、「オーナー社長のライフプラン」、「配偶者や子供達といった親族のライフプラン」、「後継者(次期社長)の育成プラン」などです。そして、これらのプランに従って、現在保有する財産(プラスもマイナスも)を誰に引き継がせたいか、また、残される親族にどのように生活してもらいたいかという自分の想いを明確にし、その上で、遺言書を作成するとともに、事あるごとに関係者に話をし、その想いを共有するが必要になります。
また、生前贈与など具体的な方法で財産を移しながら、時間をかけて自分のメッセージを具体化していくことも必要です。さらに、この段階では、節税対策や納税資金対策なども、不動産管理会社の設立や、生命保険の活用など、様々に講じることができます。

2.直前期の対策

現在の財産リストを作成し、どの財産を、どのような意図で、誰に相続させたいかを明確にすることが重要となります。これを遺言書にすることの重要性は1と同じです。そして、相続発生時の手続きを簡略化するための準備と節税対策・納税対策としてでき得ることを実施します。例えば、預金口座などはある程度解約をし、数を減らしておく等の対策も、細かいようですが相続人にとってはありがたい準備となります。
また、節税対策方針として、「非課税財産に組み換える」、「時価よりも相続税評価額の低い財産に組み換える」ということを考える必要もあります。墓地・仏壇等を生前取得することも一例です。手元現金を墓地・仏壇等に変えることによって相続税の計算から外すことができます。
さらに場合によっては、二次相続対策を考えることが必要になることもあります。残された個々人のライフプランによって、次の相続も考慮に入れた上で検討することが重要になってくるのです。

【対策】1,相続対策はなるべく長期プランで。 ※時間に余裕があれば、いろいろな対策が可能になる! 2,直前でもあきらめずに、まずは準備を開始 ※なんの準備もしないのは最悪です。直前でも最善の努力を!

相続対策は一人で考えてはいけません。想いを叶える専門家の知恵

相続について書かれた本は様々ありますが、相続対策は、事例にも見られるように1人1人の事情を個別に考慮した対策が重要になります。また、検討すべき事項も、本人(被相続人)の今後のライフプラン、家族のライフプラン、家族関係、財産の分割方法とその調整、そして税金問題と広範囲にわたってきます。
さらには、死というものをテーマに話し合いをしなくてはいけないのでデリケートな部分も大きな問題となります。事業の後継者問題などは、利害関係者も多く、慎重に話し合いを繰り返さなくてはいけないテーマでもあります。
信頼できて、家族の問題、財産の問題、お金の問題、経営の問題となんでも話ができる利害関係を伴わない第三者の相談役を見つけることが必要です。税理士に相続税の節税問題だけ、弁護士に遺言書の作成だけ、遺産分割協議だけというように個別個別の対策も重要ですが、相続全般の広範囲な対応が可能な相談役を見つけるのが良い相続対策につながるのではないでしょうか。
一人で悩むのではなく、多くの知恵を活用して、複雑な争族という課題とはやめに向き合うことが重要だと思います。

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